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地域医療研究会全国大会




地域医療研究会全国大会 2009 in長野 に参加して



2009.8.28 加瀬

トピックス
1、全体を通して考えさせられた事
2、分科会=T「これからの医療保障制度はどうなるのか」に参加して



1、全体を通して考えさせられた事
 この研究会は「1980年、全国で地域医療を実践追求しています有志の病院及び医療従事者が集まり、情報交換と意見交換および交流の場として設けられました」(代表世話人・松本文六氏)のように、約20年の歴史を持つ研究会である。

 全体を通して考えさせられた事は、1日目のシンポジウムで発言された宮本憲一滋賀大学名誉教授(佐久総合病院を立ち上げた若月俊一氏と志を共にしてきた人)の提起である。氏は若月氏の思いを「医療の基本的なあり方は病気を治す以前に住民の健康を保全する事にある。病気は患者が自ら治すものとして、医療を文化活動・教育活動とした。さらに在宅医療・介護などを結合した福祉事業と結合させた。この保健・医療・福祉・文化・教育の統合こそ地域医療の進むべき道であろう」「医療の基本的なあり方」をこの様に述べた。

 今銚子市は市立病院の再開が最大の課題としてある。その市立病院を「どの様な病院にしていくのか」「急激な少子高齢化の現実と銚子市の医療状況の中でどの様な地域医療を目指すのか」という方向性が何もない中で「とにかく再開を」となっている。何故そうなっているのか、それは銚子市が「街づくり」の方向性を明確に出来ない事(後で述べる)に起因する。

土建自治体」でなく、「医療・福祉自治体」の方が地域経済は良くなる
 その様な銚子市の現状に合うかのように宮本教授は「近年の日本では、地域経済の不均等発展が起こり、地方都市特に農村(全ての自治体に当てはまる=加瀬)は極端な崩壊減少に直面している。これまでのような国の公共事業補助金に依存するという農村政策は完全にゆきづまっている」「その中では公共事業補助金に依存した『土建自治体』よりも佐久病院を中心とした『医療・福祉自治体』の方が、所得・雇用などの経済パフォーマンスが高いことを証明した」今後「地域の住民が主体となって進める健康な街づくり構想として」「どの様にして、地域医療を地域・農村の再生と結合させるか」が課題だと提起している。

 この様な宮本教授の問題提起を、銚子市に当てはめてみると様々な事が見えてくる。市立病院休止は「これ以上の資金投入(一般会計からの繰り出し金)は市財政が破綻する」(前市長)のように、医師不足とあわせ市財政が最大の問題としてあった。これまでの銚子市は、大学誘致で92億1500万円(そのほか15ヘクタール無償貸与)、保健福祉センター25億3140万円、高校建設等大規模事業90億3600万円(H19年度試算)等々まさに箱物行政の典型的な自治体であった。一般会計210億円(H19年度)の銚子市が、短期間でこれだけの箱物を作った事により、H19年度決算では約50億円の黒字なのに財政調整基金は底をつき、資金不足に陥り病院休止という事態を招いてしまった。まさに「土建自治体」そのものが市財政を崩壊し病院を休止に追い込んだといえる。従って市立病院再建の方向は、「どのような街づくりをするのか」という銚子市の進むべき方向をどの様に示すかにかかっている。その事を深く考えさせられた宮本教授の提起であった。

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2、分科会=T「これからの医療保障制度はどうなるのか」に参加して
 第T分科会は上記テーマで、シンポジスト五島正規医療法人防治会理事長・黒岩卓夫医療法人萌気会理事長・高橋泰国際医療福祉大学院教授・堤修三大阪大学院教授。コーディネータ松本分六社会医療法人天心堂理事長で行われた。

 その中で、「医療制度改革の大きな流れ」と題して問題提起された高橋教授のレジメに注目した。「H2年病院は10,096施設をピークに減少を続け、H19年には8,862施設まで減少している。この17年の間に1,200を超える施設が病院の看板を下ろしている」という状況から「昨年、銚子市立病院が存続できないという事で大騒ぎになった。・・・約1,200を超える施設が無くなっているのに、銚子のように大きな騒ぎにならなかった事に気付き、大変不思議に思った。たどり着いた結論は『おそらくこれまでの病院は、銚子市立病院の場合と異なり、無くなっても市民生活に大きな支障が出ないような施設が看板を下ろしてきたからであろう。この様な事が起きていたのは、これまで国が地域の必要性の低い病院のみが看板を下ろすようにする政策誘導を粛々と続けてきたからであろう』というものである」という問題提起であった。

 高橋教授は、「日本の医療制度改革はマクロ的に見れば、病床削減と機能分化の方向に向かって確実の流れている」「目的地」は「急性期病床の密度を上げる」「地域医療を守る(連携と往診)」という事を1,200の施設がなくなっても銚子のように大騒ぎにならない事(その様に国が政策誘導をしてきた)をもって説明した。しかし、本当に不要な病床の削減だったのならこの説明は正しいかもしれないが、正確な情報が無いので充分に理解出来ないのが正直なところだ。ただ「急性期病床の密度を上げる」や「地域医療を守る」事については、全く異議のないところだ。

 改めて、銚子市立病院の存在の意義を感じさせられた高橋教授の提起である。銚子市立病院が無くなった事により、市民生活に大きな支障が出ているという観点から「市民にとって市立病院はどの様な存在だったのか」その事を明確にする事が、今後の病院再建の方向を示す大きな手がかりになると思う。

 その様に感じた分科会であった。

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