銚子市市議会議員

加瀬 庫蔵(かせ くらぞう)の公式サイト

Kurazo Kase Official Web Site

銚子市立病院再開について




月間社民(社民党の月刊誌)9月号の原稿依頼があり、執筆しました。

トピックス
「小さく産んで大きく育てる」銚子市立病院再開
市立病院再開は「街づくり」の理念が必要
=「リコール派が3分裂し惨敗」の経験から=
=高齢者の現状と介護認定者の実態から考える=
=「住民が主体となって健康な街づくりをする」提案=




「小さく産んで大きく育てる」銚子市立病院再開
 「先ずはスタートさせる」事を優先し、「小さく生んで大きく育てる」。笠井先生の強い意思と提案により、5月1日1年8ヶ月ぶりに市立病院が再開した。

 市立病院再開に対して、様々な意見が寄せられている。一つは、「再開は歓迎、課題は救急と高齢化医療。1年後を見守りたい」という事に代表される市民の思いである。二つは、「長期間休んでいた事から、別の病院で診てもらっているからもう来ない。内科だけではダメだ」と言う感想だ。その中で、共通しているのは二次救急病院の必要性である。

 全く別の角度からの意見提起もあった。「病院再生には、医療・福祉・健康づくりを地域全体でどうするかという理念や方向性が必要。休止となった反省を生かさないとうまくいかない」。これは、市立病院再開に対して、読売新聞の取材に応えた城西大学井関準教授の意見である。この提起は、私が市長と度々議論してきた事でもあったので、特に注目した。

 市立病院再開に対して、野平市長は「私としては、病院再生構想の枠組みのもとに、ある程度の診療規模や二次救急機能を準備した上で再生することを望んできましたが・・・市民の願いに応えるためにも、この提案に基づき、早期の開業を目指していく事としました」と説明した。しかし、市長が「病院再生構想」を持っていた事や「二次救急機能」を自らの主張として述べた事は一度もなかった。リコール選挙で当選したことから「私が取り組む最優先かつ最大の課題は市立病院の再開です」と言いながら「銚子市には45の診療所、170床を持つ2つの民間総合病院、70床を持つ2つの民間病院がある中で、『何故市立病院が必要なのか』と言う意見もある」と指摘していた。ゆえに、「病院の将来像を市長はどの様に考えているのか」「再開に向けて、全国の医師や医療関係者に何を発信して、銚子へ来てもらうのか」等々の質問に対して「再開は市民の要求、市民は二次救急を望んでいる。病院の将来像など全て専門家集団である再生準備機構に委任している」と説明し、「市民の要求だから再開」と言い続けてきた。銚子市として、市立病院再開に対する理念を示さないまま、「再開構想」は全て再生準備機構に丸投げの状態である。その様な中で、笠井医師+αで内科外来からスタートする事になった。

 ※ 「(市立病院)再生準備機構」とは
   「市立病院再開は超難問」(市長)、高度な専門家集団に「市立病院のあり方と再生までの計画」「医師、看護師、職員の確保」「経営主体の確保」「開設後の経営管理」を昨年8月から年度内3150万円で委任契約を締結し、今年度も約3000万円で契約を継続。目標達成の場合「報奨金」を支払う。

ページTOPへ



市立病院再開は「街づくり」の理念が必要

=「リコール派が3分裂し惨敗」の経験から=
 市立病院休止から市長リコールを、「病院休止は国の政策が最大の原因、だからこそ首長・議員の政策と行政能力が問われる、地方自治それ自体を問う問題だからこそ市民がリコールに立ち上がった」と考えて戦ってきた。リコールは成功した。しかし、続く市長選挙ではリコール派が3つに分裂し、それぞれ市長候補を立て戦う事になってしまった。結果として「病院休止の原因を作った元市長(野平氏)」が当選し現在に至っている。

 「リコール派が3分裂して惨敗」の原因は、地域医療に対する認識のなさと医療政策をもてなかった事による。「経験のないリコールで目一杯」という中では仕方にないことだが、戦ってみて、改めて「地域医療に対する認識」と私たちの「医療政策」という事を、銚子市のおかれた現状から考えさせられている。

ページTOPへ



=高齢者の現状と介護認定者の実態から考える=
 銚子市民の平均寿命が千葉県化最低で、特にガンの死亡率はダントツに高いという現実がある。この事は、行政の責任として医療と福祉の一体的な取り組みが求められることを認識させられる。

 急激に市の人口が減っている中で、高齢化率は29.03%(H22年)。しかも高齢者の単身世帯・夫婦世帯が急増し同居世帯が減っている。高齢者の収入も、年間200万円以上の人は高齢者人口の約1割。年収80万円以下の高齢者がかなり多いのが現実で、これから低収入の高齢者が増える事が予想さている。この事は、市の包括支援を軸とした福祉政策の充実が緊急の課題である事を示している。

 介護認定者の内、特別養護老人ホーム待機者は286名(H22年5月現在)。その中で、要介護度3以上の人は160名(認定者の60%)いて、その内50%が在宅介護の状態だ。年々介護認定者が増えているにもかかわらず、介護予防事業に参加している高齢者は高齢者人口の5%。更に、認知症の認定者は高齢者人口の7%にも上り、年々拡大する傾向にある。これらの現状から言える事は、介護事業ではカバーしきれない実態がすでにあり、行政が責任を持って包括支援の体制を組むシステム作りが課題となっているという事だ。

 この様に、高齢者の現状と介護認定者の実態から考えた時、行政が責任を持って医療・福祉政策を軸とした街づくりの理念をしっかり持つ事が求められている。その中で、市立病院の役割を明確にする事だ。

ページTOPへ



=「住民が主体となって健康な街づくりをする」提案=
 何故市立病院再開を「街づくり」と考えたか。それは「地域住民が主体となって健康な街づくりをする」という地域医療の理念を実践している佐久総合病院、諏訪中央病院、岩手県藤沢町立病院、市立夕張診療所等々に学び、改めて銚子市における「高齢者の現状と介護認定者の実態」を分析した事による。そして、この事を行政に提案し続けてきた。

 「土建自治体」の典型であった銚子市が、6月議会の冒頭「銚子市再生への取り組み」の中で、「私は、全国の医療界・自治体が注目する中で実現した、市立病院のささやかな再生は、銚子発展の大きな一歩と考えています。今後、議会でも取り上げられているメディコポリス(医療福祉都市)構想やコンパクトシティ構想などを銚子市の将来における街づくりの主要なテーマとして見据えながら、市民の方々と意見交換する場を設けたい」と市長が述べた。二つは相矛盾するような提起だが、市立病院再開を通して提案を続けたいし、その様な立場で、新たな市民運動を考えて行きたいと思っている。

ページTOPへ