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苫小牧市立病院視察報告


 2011年7月6日当病院を視察しました。

 この病院は、公立病院の中でも成功している病院と言えます。従って、今の銚子市立病院と比べることは意味がありません。しかし、成功するのはそれなりの要因があります。その要因を学ぶことは、今後の銚子市立病院にとって大いに参考になると思います。

1つは、病院の位置づけ・目指す方向・理念が明確になっています

 平昭和21年10月11日に苫小牧町立病院としてスタートし、昭和30年3月1日苫小牧市立病院と改称、昭和33年4月1に苫小牧市立総合病院と改称し昭和41年11月24日救急病院の指定を受けました。以後、増築に増築を重ね「迷路みたいな病院」(事務長)であったことから建て替えを行い、平成18年10月1日に新病院として開院しました。

 新病院の位置づけ・目指す方向を「診療科数20科、一般病床378床、感染4床」で「急性期医療に対応した病院として、地域の医療機関との連携を重視し、二次救急を中心とした地域医療支援病院を目指している。さらに、ガンの早期発見診断装置であるPEF/CTの新規導入やデジタルマンモグラフィ、放射線治療のリニアック設置など、ガンに対する画像診断と治療機能及びがん化学療法体制を充実させ高度な専門医療を提供している」と施設の概要では説明しています。

銚子市立病院は再開の位置づけ・目指す方向・理念は示さない

 今の銚子市立病院は、特に銚子市は「あえて病院の理念を示さない」(要旨市長)との態度です。それは、「銚子市立病院再生機構にすべて任せてあるので、あえて銚子市側から何も言わない」「市民の要求は二次救急と知っている」(要旨市長)との態度です。

 従って、「銚子市には、このような病院が必要なので、このような医師を求めているという態度ではなく、どのような医師が来るかによって、病院の性格が決まってくる」(要旨市長)と説明しています。

 銚子市立病院の常勤医師は7名と説明していますが、内科の医師は2名です。外科が1名、整形外科が2名であとの医師は泌尿器科と眼科各1名(平成23年6月1日現在)です。この状況で、「3月末に53床で入院再開」と市長は声高く説明しています。

 まだ再生途上の病院とはいえ、誰が見てもちぐはぐな状態になっています。確かに、外来患者数昨年5月(病院再開)は1か月196人(1日平均10.9人)だったのが、今年の5月は1か月1910人(1日平均76.4人)となっていて、少しずつ市民に認められつつあるようになってきました。しかし、市民が求める市立病院に再生するには、銚子市も市立病院再生機構も市立病院再生の理念を明確にして、全国の医療関係者へ呼びかけることが必要です。

2つは、医師の確保は院長がその先頭に立っている

 今回の視察で最も重視したのは、医師の確保です。

H18 H19 H20 H21 H22
常勤医師 45 48 52.8 55.8 56
初期研修医 3 8 8 9 11
出張医師 2.9 2.9 2.6 2.3 2.4
50.9 58.9 63.4 67.1 69.4

 平成23年4月現在、医師54人(正規)、嘱託臨時医師15人、看護師302人(正規)、嘱託臨時100人を含め、職員の合計は正規職員455人、嘱託臨時223人を有する中で、確実に増えているのは医師の数です。

 このように、医師の確保が出来ている要因は、北海道大学の研修病院という性格があり、北大の医局からの全面支援が医師確保の最大の要因であることには間違いないと思います。

 しかし、事務長である萩原氏の話を聞くとそれだけではないように思いました。「大事なのは、医師から選ばれる病院になるための方策」が大事であるという事が根底にあるようです。その為に、ハード面の整備として手術室、放射線部門、検査部門の充実。ソフト面として電子カルテの導入、研修病院の充実に力を注いできた」「院長がその先頭に立っている」とのことでした。

 結果として、常勤医師の拡大だけでなく研修医の数が増えていいます。そのことが、看護師の増加や他の医療機関(開業医)からの患者の紹介、さらに、患者から選ばれる病院になっています。

 これらの裏付けとして、平成22年度外来患者数22万2865人、入院患者数11万9907人として現れ、他医療機関(開業医)からの紹介患者数8099人、逆紹介者数5126人となっています。

銚子市立病院は1年で3人目の院長・院長が非常に軽く扱われている

 上記のような報告を聞いて感じることは、市立病院の責任者である院長の存在が重要であるという事です。銚子市立病院に限ってみていくと、病院紹介のパンフレットに院長の紹介が非常に小さく、全く院長が乗っていないパンフレットが多く出回っています。医療機関なのに、医師でない市立病院再生機構の田中専務理事や野平銚子市長が多く出演し、院長の存在がほとんど見られません。

 初代理事長・院長であった笠井医師に関しては、理由は明らかにされてはいませんが、田中専務理事によって一方的に辞任に追い込まれたことが明らかになりました。確かに、市立病院再生機構は銚子市が指定した「指定管理者」で「民間企業」です。しかし、この再生機構は経営陣である理事の皆さんは1円の出資もしていません。100%銚子市が出資してつくった法人です。しかも人件費や運営費の赤字分を含めすべて銚子市の補助で成り立っています。なのに、内部の運営が全く秘密にされています。しかも、5年間で指定管理料や病院運営費の赤字補てん分等を含めて約20億円もの支出を決めているのにです。

 これらのことを思うとき、病院運営の民主化を含め、市立病院の立ち位置がはっきりしていることだと思います。市立病院の位置づけ・目指す方向・理念よりも、どんな医師でもよいから医師免許を持っている人を集めればよい。どのような医師が来るかによって病院の性格を決めるという考え方では真の再生は出来ないと考えます。

 このように考えた視察でありました。


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