銚子市市議会議員

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島根県松江市玉造地区のまちづくり


 平成25年7月31日松江市を訪問して、玉造地区のまちづくりについて報告を受けた。報告してくれた人は、松江市都市整備部歴史まちづくり課のまちづくり係長松尾純一氏と同副主任山崎隆志氏である。

「15軒中4軒の旅館が倒産」という現実から
 「7年前までは、『団体客の減少』『街歩きできない温泉街』『行くところを聞かれると困る』様な状況があって、『楽しみのない温泉街』という事からの出発でした」と、松尾係長の説明から報告を受けた。

 この様な状況なので、15軒中4軒の旅館が倒産という厳しい現実に、旅館関係者だけでなく地域住民も危機感を共有し、「まちづくりのチャンスは今しかない」と行政と住民が一丸となって立ち上がり、ハード・ソフト事業の連携で「まち歩きする」観光客で昼間から賑わう「玉造温泉」へと再生を図った内容について以下報告したい。

何故「楽しみのない温泉街」になったのか
 古事記にも記載されている日本最古の温泉で、山陰屈指の温泉街が何故「楽しみのない温泉街」になってしまったのか。当時は、米子高速道路の開通で客は来ると見込み、旅館やホテルでは大型化や近代化が進められ、館内での飲食・娯楽・物販機能等を充実させた。この事が逆に個人客を無視することになり、団体客中心で旅館やホテルから外へ出ないなど、宿泊客の囲い込みにつながる事になってしまった。結果的に地場産業との結びつきに欠け、温泉街のにぎわい低下を招き魅力を奪うことになっていたことが最大の原因であったことが報告された。ここでは、原因をきちんと把握している。ここが大事なのではないかと思った。

温泉街を魅力的にする計画は
 にぎわい再生に向けて旅館・ホテルや住民など地元関係者の気持ちを一つにするため、地元の自治会、温泉旅館協同組合、商工会、観光協会、身体障害者福祉協会からなる「玉造温泉街活性化プロジェクト会議」を組織した。

 ここでは先ず、旅館・ホテルは囲い込みを改めて宿泊客に外出を促し、一方で外出したお客様が満足されるように、玉造温泉ならではの地域の魅力を洗い出し、宿泊客がそぞろ歩きの中で温泉街を魅力的に感じるような仕掛け作りを検討する事から始めた。

実施過程の工夫
 まず「まちづくち」の考え方、ソフト面を大事にした。「玉造温泉街活性化プロジェクト会議」では、まちづくりの考え方を出雲の風土にちなみ「神話のふるさと 姫神の湯 玉造温泉」と決定し、「神話巡りを楽しみながら、観光資源や土産者屋、娯楽施設に立ち寄る」という特徴あるそぞろ歩きを提供するために、今まであったものを活かすことにより、人が集まるスポット作りを始めた。

 それは例えば、、もともとあった「願い石」に宿る不思議な力のおすそ分けを頂いて「叶い石」をつくり、オリジナルのお守りとして、中には「叶い石(天然石)、願い札、お守り札」が入れている。今では「願い石」に祈りを込め長い行列ができるようになって来ている。その他に「カメラお助け台」や「おしろい祈願札」「おすそ分け茶屋」「恋叶いの素」(鯉のエサ)等々の取り組み(まだまだ工夫した取り組みがある)がされている。これらは、地元主体のソフト事業として展開され、観光客も増え始め、地元ではまちづくりの機運が高まった。

これらの評価
 観光客の地区内散策時の満足度が、従前値25.1%に比べ約3倍の76.7%に向上した。この背景には、神話モニュメント等の景観整備やポケットパーク、歩行空間を含めた環境整備等のハード面に加え、地元主体による、温泉をテイクアウトできる「美肌温泉ボトル」や前述したようなソフト事業が取り組まれ、その成果が表れている。

今後の方針
 多くの観光客のまち歩きによりにぎわいが再生できた。今後は、よりにぎわいを促進するため、中心部より川下エリアに新たな街の魅力創出を図り、まち歩き観光をさらに推進していく必要がある。という事から、新たなプロジェクトが進行中との事であった。

感想として
 銚子市も、廃業に追い込まれたホテルやシャッター通り等課題は多くある。玉造地区は「活性化プロジェクト会議」を作ったが、すべて地元の人たちの手作りである。専門家の「コンサル会社」や学者は断り、すでにあるものを活かしながら観光客の何気ない言葉に注目し、来られた人が喜ぶような事をやるという考え方・ソフト面に徹したようだ。その上に、まちづくり交付金事業を使いハード整備が行われ、観光客が増え始め、地元ではまちづくりの機運がさらに高まったようだ。
 このように、すでにあるものを活かす取り組みを通じて「まちづくり」を行っている事は、これからの銚子市の観光行政や「まちづくり」について、大いに参考になるのではないか。その様に感じた視察であった。

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