銚子市市議会議員

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財政健全化団体に至った泉佐野市を視察して


2013年11月26日報告

加瀬くらぞう


視察を考えた経緯

 銚子市は、今年の5月市長が変わった。そこで判明したのが「平成25年度は、何もしなければとの条件付きだが、約6億円の赤字決算になる見込み」という事が財政当局から示された。
 前野平市長は、このような財政見通しは示さず、財政も含めて「全国的にも優良な市」という主張を持って市長選挙を戦った。しかし結果は、毎年赤字は拡大し平成26年度以降は約20億円を超す赤字額となり、財政健全化団体になる予測が示された。
 この様な銚子市のおかれた現状を踏まえ、全国的にも報道された泉佐野市を訪問して、財政健全化団体に至った経緯や改善策について学ぶことを目的に、平成25年11月20日訪問した。

財政健全化判断比率が早期健全化基準以上となった要因

第1は、 泉佐野市は、平成20年度決算で健全化判断比率の内「将来負担比率」(早期健全化基準350%)が393%になった事による。
 「将来負担比率」とは、市のすべての会計の負債(借金)を標準財政規模(真の財政的実力)から見た割合で、350%を超えるとイエローカードとなり、外部監査を受ける事や「財政健全化計画」の策定が義務付けられ、国への報告義務を負う事となる。
 その主たる要因は、一般会計で751億円に上る地方債残高と病院事業会計や下水道事業会計に係る公営企業債等繰り入れ見込み額335億円によるものと説明を受けた。

第2は、 平成20年度決算で「連結実質赤字比率」(早期健全化基準17.44%)が27.42%となった。
 「連結実質赤字比率」とは、全ての会計を対象とした赤字額及び資金の不足額を標準財政規模から見た割合で、17.44%(銚子市は17.76%)を超えるとイエローカードで、市町村は30%(都道府県は15%)を超えるとレッドカードとなり財政破たんと認定される。その様になると、「財政再生計画」の策定が義務付けられ、総務大臣の同意を得なければ地方債の発行ができなくなる。
 主たる要因は、宅地造成事業計画における資金不足約66億円による。これは、現市立病院建設に際して、財源として旧病院跡地の売却収入を充てる事とし、将来の公共施設等の整備にため宅地造成事業会計に売却したものだが、景気低迷による事業計画のとん挫などにより、同会計においてその間の金利負担の累積と地価下落よる売却損益が生じたためとの説明を受けた。

第3は、 これらの結果。
 平成6年の関西国際空港開港に合わせ、空港関連税収の増加予測を基に行った空港関連地域整備、総合文化センター、健康増進センター、市立泉佐野病院など多くの施設整備を短期間で進めたが、財源として、空港関連税収が予測した額より大きく下回った事から毎年100億円の減収となり、公債費負担が市の財政運営を大きく圧迫する事が早期健全化基準を上回った要因であると説明された。

第4は、 銚子市との比較。
 銚子市における財政の危機は、平成15年度から始まる大学への補助金99億1,500万円(市民の抵抗があり、77億6,500万円となった)、保健福祉センター25億3,140万円、市立高校新築59億9,132万円、給食センター53億3,642万円を、銚子市の財政的実力以上に支出したことと、市立病院再生機構への支出が主要因だ。
 泉佐野市は銚子市と違い、財政再建は早いのではないかと感じた。

[財政比較]


泉佐野H23年度予算
銚子市H23年度予算
財政力指数
0.96%
0.57%
歳入予算
374億8,400万円
230億億9200万円
内自主財源
227億4,700万円(60.7%)
111億6397万円(48.3%)
依存財源
147億3,600万円(39.3%)
119億2800万円(51.7%)
その内市税
200億円(53.4%)
82億253万円(35.5%)
交付税
19億円(5.1%)
50億6300万円(21.9%)

この状況を考えると、銚子市の財政状況は極めて深刻であると言わざるを得ない。

改善策について

 銚子市とは違い、もともと財政的にはカッコつきだが「裕福」な市なので財政的な回復は早いのではないかと感じた。

第1は、収入増について様々な取り組みをしている。
1つは、「ネーミングライツ」の取り組みである。
 これは、公共施設に企業名を入れる事により、広告料をいただくという取り組みである。例えば「市民総合体育館」に「左近商事株式会社」から広告提案をいただき、愛称「バイキング左近体育館」として、年額70万円を3年契約で行うと言った事である。
 平成24年度は7件で500万円位だが、再建の意欲が感じられる取り組みである。

2つは、ふるさと納税を活用した「ふるさと応援寄付金」の取り組みである。
 これは、「市を応援できて、エエもんがもらえて、さらにまちが活性化」という事で、「2,000以上の寄付については税金控除の対象になります」との宣伝から、例えば、「3万円を寄付した場合、最大で2万8,000円還付されます、実質負担は2,000円です」と訴え取り組んでいる。
 1万円以上の寄付者には「素敵なお礼品をプレゼント」として、寄付金1万円以上3万円未満は3,000円相当の「お礼品」、寄付金3万円以上は7,000円相当の「お礼品」という取り組みである。
 その事により、平成23年度は48件633万1,000円の寄付金実績が平成24年度は468件1,902万1,497円となっている。

3つは、遊休財産売却と企業誘致の推進。
 遊休財産の売却は、あくまでも臨時的な財源確保としているが、前倒しで売却するもの、その他新たに売却を検討するものを明確にしているようで、4年間で11億9,000万円を見込んでいる。企業誘致も、平成28年度以降法人税割5%伸びを目標としている。
 これらは、検討する事が必要な事だと感じた。

第2は、歳出に対する取り組みである。
 1つは、「市民負担をしない取組み」との説明で、人件費4年間で13億3,000万円削減の説明があった。人件費については10年間で約20億円の削減を銚子市は取り組んでいる。これは、あまりにもワンパターンで「組合の同意は得られていない」との説明であったが、当然のことである。財政再建は、大規模公共事業をいかに効率的にしかも計画的に行うようにできるかが大事だ。そのためのどのような「街づくり」をしていくか明確なグランドデザインが必要だ。

2つは、泉佐野市は「投資的経費の見直し」を、歳出の大きな柱としている。
 平成23年度から平成27年度までの5か年で、投資的経費を「事業費」で5億1900万円、一般税源で見ると8億7500万円の削減を計画している。投資的事業の実施計画をそのような方針に基づき計画化している。ここは参考になった。

3つは、その他の経費の削減。
 ここは、大変難しいと感じた。「継続的に事務事業の見直しに努め、経費の削減を図る」としているが、詳しくは聞くことが出来なかった。

以上、有意義な視察であった。



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