銚子市市議会議員

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 野平市長時代、議会には「社会福祉事業団を名乗る以上は、出資金は市が払わなければいけないという縛りは制度的にあるわけで、事業団の名称を変えて純然たる社会福祉法人に変えると言っているわけではない」「最後の一線は変わることはない」と説明し、事業団の存続を強調し、銚子市の関与は維持されるような発言を繰り返した。

 しかし実際は、議会や市民が知らない内に定款が変えられ、銚子市の関与が出来なくされてしまった。以下は、その問題点と今後の課題について考察したものである。


社会福祉法人 銚子市社会福祉事業団について


・A、銚子市の関与が何故できなくなったのか

1、銚子市社会福祉事業団について市の関与(旧定款)とは

 旧定款は、以下の内容で市の関与が明確になっていた。この旧定款が、何の説明もなく変えられた。

@、 銚子市が全額出資して設立した社会福祉法人。基本財産として300万円全額出資している。
A、 理事長は市長の指名、理事9名の内2名を市長が指名。
B、 銚子市社会福祉事業団の3施設を指定管理者として委託料を支払っている。社会福祉事業団本
部を「外川園」に置いていた。

3施設とは


・銚子市養護老人ホーム長崎園
・銚子市特別養護老人ホーム外川園
・銚子市海鹿島保育所
C、 予算決算について市長の承認を受ける


2、銚子市特別養護老人ホーム外川園の移設と管理運営を移譲する事について

 「外川園」の新築及び移設とは、銚子市社会福祉事業団本部の移動を意味する。しかし、管理運営の移譲が定款変更の理由にはならない。

@、
S42年銚子市が直営で開設した。
A、
S45年市直営から社会福祉法人恵仁会に委託運営してきたが?

「この恵仁会は、銚子市がつくって銚子市の外郭団体みたいなものと思っていたがそうではなかった。完
全に民間の社会福祉法人で、老朽化した養護老人ホームを建て替える時、市が1億数千万円の出
損金を出して土地を買って建物も建てて、全部それを恵仁会に無償で譲渡すると、ついでに外川園も
無償譲渡があって、市が関与できる社会福祉事業団を設立させた」(H22年6月議会会議録P96)

当時、市が恵仁会へ委託運営していたが、「長崎園」と「外川園」を土地も含めて無償譲渡という
事が起こり、市の関与が出来なくなるような事態が生じた。そこで、市の関与を明確にするため市が
100%出資して社会福祉事業団を設立させた、という歴史がある。
B、
S57年から銚子市が全額出資している社会福祉法人銚子市社会福祉事業団に経営委託。
C、
H18年4月から社会福祉事業団が指定管理者となって管理運営に当たっている。
D、
予H22年6月議会で、「外川園」の管理運営を社会福祉法人銚子市社会福祉事業団に移譲するた
め、条例の改定を議決。

「外川園」の老朽化に伴い「新外川園」の新築を、銚子市ではなく社会福祉事業団が行い、その
運営・管理も社会福祉事業団が行うように条例の改正を行った。

この時は、定款変更の話は全くなかった。
E、
H22年8月10日施行の定款

この時の定款変更は、S57年4月1日施行から引き継いでいる旧定款の中身の変更はなく、「理事長
は、銚子市長が指名する理事をもってあてる」「理事の内2名は銚子市長が指名、その他は評議委員
会で選任」「評議委員は、理事会の同意を得て、理事長が委嘱する」「予算・決算は市長の承認を受
ける」はそのままになっている。

これは、外川園が銚子市の指定管理による管理運営から福祉事業団に移譲したことにより定款変
更をしたもので、46通知を逸脱した変更はしていない。

本当に定款変更が必要ならこの時に変更すべきだ。
F、
H23年4月1日施行の定款

ここで初めて「理事長は理事の互選とする」と定款が変えられた。「理事は評議委員会で選任し」となり
「2名は市長の指名」はなくなった。また「予算・決算の市長の承認」もなくなった。



また、H23年度予算から外川園の指定管理料がなくなった。

定款変更の理由は、「県の指導による」との説明だが、指導文書もなく定款変更しなければならな
いほど強い指導の事実はない。
G、
H24年10月1日施行の定款

第4条「事務所の所在地」が野尻町1472−1に変わった。

名前が「外川園」から「松籟の丘」へ変更となり、銚子市社会福祉事業団本部も「外川園」から
「松籟の丘」へ移った。
H、
H25年6月13日施行の定款

第1条「目的」にある3事業の名前から「銚子市」と「長崎園」「外川園」「海鹿島」がなくなった。

理由は「H23年度に受け県監査指導で、口頭により、社会福祉法人定款準則に基づくよう指導が
あったため名称を削除した旨事業団に確認した」(H25年9月議会健康福祉部長答弁)だが、将来
特老だけを分離するつもりと受け取れる。


3、外川園の建て替えについて野平市長の説明
1)、 社会福祉事業団直営による外川園建て替えについて、5つの理由と野平市長答弁(H22年6月議会)

@、
事業団直営(民設・民営)のほうが補助を受けやすいとの説明を繰り返した。 外川園の建て替えとその
後の管理運営は、事業団直営のほうが県の補助を受けやすいという事について、「県の担当者が指導
しているもので、文書があるものではない」「市の職員も、事業団の責任者も県に何度も確認したうえで
間違いない。そこで民設という枠組みにした」と述べている。 その県の補助については、「H20年度以前
は定員一人当たり256万円の補助、H21年からH23年度は一人当たり400万円、H24年度以降は
300万円を県は示している」(民生部長)と述べ、チャンスは今しかないとの答弁を繰り返した。

この事について小林議員(H22年6月議会P63)へ次のように民生部長が答弁している。「県の考え
でH22年度の予算では公設・民設関係なく補助する事ですが、H23年度の予算枠が希望より少な
かった場合に、公設のものについては優先順位が低くなるような県の話がありますので、そこを配慮し
てのこと」と言っている事から、必ずしも民設・民営でなくてもよく、このようなやり方には銚子市の関与
を外すことが最大の狙いであることが伺える。

さらに、定款変更の理由が、@県の指導、AH21年12月1日厚生省3局長通知にあることから、野
平市長は、この時点ですでに定款変更の意思はあったはずなのに、議会ではその素振りすら見せな
かった。
A、
利用者への影響が少ない

「今の場所で生活して頂きながら別の場所が見つかった」
B、
起債の借り入れがなくなる

「銚子市の公共施設でなくなるので、起債の発行はない」
C、
福祉医療機構からの借り入れが可能になる

「地方債として借りるよりも長期かつ低利の資金で、借入限度額が非常に高い」「特別にこの数年だけ
超低利の期間が適用される珍しいタイミングで、H23年度までという事」「躊躇する材料がなくなった」

野平市長は、「この期間だけ・今だけが有利」(要旨)という説明で、高額な箱物建設を説明する事
が多いが、今回は特にそれを強調した。
D、
職員の雇用安定につながる

「事業団の大勢の介護職員が指定管理者競争に精神的に疲れてきた。その時民間法人が手を出し
たら自分たちは解雇されたり身分が変わる不安を訴えられてきていた」「経営が安定している限り安心し
て雇用が継続される」

これは、外川園が銚子市の指定管理による管理運営から福祉事業団に移譲したことにより定款変
更をしたもので、46通知を逸脱した変更はしていない。

指定管理者競争なるものは存在していない。


2)、 建設用地の無償貸与への市長答弁

「将来的に黒字が累積されるような事態がある場合には土地の賃借料をいただくとか・・・検討すべき、
そのときは時価という事ではなく、ディスカウント価格でお引渡しは十分可能、そのように自立して頂きた
い」


3)、 「新外川園」は銚子市の関与が引き続き維持されるのか

@、
H22年6月議会、野平市長の答弁

「できるだけ自立できるようにして、一挙にそれを望むのは無理だと思う。基本方向としては自立を促進
すると考えたほうが良い」「社会福祉事業団を名乗る以上は、出資金は市が払わなければいけないとい
う縛りは法制度的にあるわけで、事業団の名称を変えて純然たる社会福祉法人に変えると言っている
わけではない」「最後の一線は変わることはない」

事業団の存続を強調している。ここでは暗に銚子市の関与は維持されることを述べている。
A、
H22年6月議会、民生部長の答弁

「『46通知』(よんろく通知)で社会福祉事業団を設置している、H14年に指定管理者の指定管理の
制度が出たと相まって、その委託が緩和されているが、「46通知」は依然有効だとされている」(H22年6
が議会会議録P62)

この時点では、「46通知」は有効だと明確に答弁している

「46通知」は有効と承知しているのに定款を変えてしまった。考えられるのは、市長が変わっても市の
関与を出来なくすることが目的だと考えられる。


・B、旧定款を変えた理由の説明

1)、 H25年7月31日加瀬庫蔵の調査依頼に対する回答

@、
定款変更の理由

「千葉県より事業団の役員構成について、事業団の独立性を高めるため、行政の関与は望ましくない
との見解があり変更しました」(銚子市高齢者福祉課)とあり、その理由は以下の通知によるとしている
{H12年12月1日障第890号厚生省大臣官房障害保健福祉部長外3局長通知(別紙抜粋)により、
関係行政庁の職員が法人の役員となりことは社会福祉法第61条に規定する公私分離の原則に照ら
し、適当ではない。また、地方公共団体の長が慣習的に理事長に就任したり、役員として参加したりす
ることは適当でない}
A、
「県の指導」という事について

千葉県印旛健康福祉センター長による「H21年度監査指導の結果について」が示された。


2)、 高齢者福祉課の問題点

@、
千葉県より事業団の役員構成について行政の関与はのぞましくない」との見解は、文書がない。これは
おかしなことだ。
A、
H12年12月1日の通知は、「社会福祉法人の認可について」の通知で「社会福祉事業団等の設立及
び運営に基準について」(46通知)とは性格が異なるものである。これを根拠に定款を変える事は問題
だ。一般的な社会福祉法人と地方公共団体が設置した社会福祉施設の受託経営を主たる事業目
的とする社会福祉事業団とは明確に区別されているから、通知も正確に出されている。

H12年12月1日の通知は「社会福祉法人に認可について」

S46年7月16日の通知(46通知)は「社会福祉事業団等の設立及び運営の基準について」

それぞれ示されている。
B、
H12年12月1日の通知は、旧通知の廃止を謳っているが、旧通知とは「S39年1月10日社発第15号
厚生省社会局長、児童家庭局長連盟通知」と明確にしている。従って、この通知には「46通知」の事
は全く触れられていない。
C、
H12年12月1日の通知が事業団にも適用されるとなった場合、H23年4月1日(旧定款廃止・新定款
の施行日)まで何故定款が変更にならなかったのか全く不思議だ。明らかに、市長が変わっても野平元
市長の影響力を維持するため、意図的に変えたという事が見える。この様な状況は早急に改善しなけ
ればならない。
D、
H21年7月10日の千葉県印旛健康福祉センター長による「H21年度監査指導の結果について」は、
「評議員の空席が1年以上にわたっていること」また「理事長の空席が3か月の長期にわたっている事は
問題である」という指摘から理事長を「定款に基づき早急に指名すること」との指摘事項が主である。そ
の時「理事長の空席は市長の指名になっている事が原因と考えられるので、理事長を互選とする定款
の改正も検討されたい」との指摘があった。これは、理事長を指名しない市長の怠慢を指摘したもので
あり、定款を変えて市の関与を無く事を目的としたものではない。「検討されたい」という事からも「強い
指導」を伴うものではない。


2、H23年3月3日社会福祉事業団理事会での定款改正理由

1)、 理事長挨拶

「理事2名が欠員でして、笠井理事は職務の都合がございまして退任となり、箱家理事は市の現職で
ありますので、業務移譲等に関り県より指摘がございまして、退任という事になりましたので2名の欠員と
なり、本日評議委員会で承認されました方々に新しい理事になっていただきました。今日は議案が多数
という事で、本来は資料を事前配布ですが、昨日遅くまで議案作成していました経緯があり、当日配
布になってしまい申し訳ありません。その様な事で本日は大変重要な事項でございますので、よろしく審
議をお願いします」(理事会会議録)

@、
本来、議案は事前配布のはずがこの日に限り当日配布になっている。確かに15号までの大量議案とは
いえ、当日配布は問題と言わざるを得ない。当日配布せざるを得ない何らかの意図を感じざるを得な
い。
A、
理事2名の欠員とその補充の理由も「県より指摘」と説明しているが、文書はない。


2)、 定款改定議案提出

@、
議案第4号「社会福祉法人銚子市社会福祉事業団定款の一部を改正する定款改正について」が提
出され、提案理由として「銚子市特別養護老人ホーム外川園の事業移譲に伴い、所定の改正をす
る」と議案提起。各条文の改正内容の説明。
A、
理事長の補足説明があり「理事の指名の改正についてですが、以前から県より指摘されていた事でござ
いまして、移譲に伴って今回の改正を行います」と、これまた「県より指摘」という事が強調されている。


3)、 理事長挨拶と議案提案の問題点

@、
定款改正の理由を、外川園の運営管理が事業団直営となる為としているが、これはおかしい。事業団
の直営としても、事業団は銚子市が全額出資してつくった社会福祉法人だ。これには[46通知]が適用
されることになるはず。社会福祉事業団が、完全に民間の社会福祉法人ならばこの定款変更は理解
できるがそうではない。明らかに恣意的な解釈で定款変更を行っている。
A、
「県より指摘」との提起が再三にわたって行われている。これが事実ならば、何故文書がないのか全く不
思議だ。


・C、平成25年9月議会での越川市長の答弁

1、 県の指導の強度、市の判断の妥当性を再度検証

「県の指導」として唯一残されているのは、H21年7月10日付けで千葉県印旛健康福祉センター長に
より事業団に出された「『監査指導の結果』についての通知」だけである。この事について、以下の様に
越川市長が答弁した。

@、
県の「『監査指導の結果』についての通知」は、「検討されたい」という指摘に留まり指示や強制ではな
い。理事長が市長の指名になっている事が市の不当な関与に当たるのか疑問が残る。県の指摘がどの
程度のものであったのか、これを受けた市の政策判断が妥当だったのか疑問も残る。
A、
全国の社会福祉事業団の中には、理事長を県知事や市長にしていたり市長が任命しているところも多
く、社会福祉事業団の存在理由・特殊性を考えれば、この様にする形態が一概に「市の不当な関与
に当たる」とは疑問が残る。
B、
H14年8月21日の厚労省通知「社会福祉事業団等の設立及び運営の基準についての取扱い」で
は、[46通知]は「今後も存置する」とされている。
C、
定款変更の経緯について、県の指摘がどの程度のものであったか、市の判断が妥当であったかという事
について、再度検証したい。


2、 議会説明がなかったことは遺憾

「H22年6月議会では、定款変更の方向性が定まっていなかったのかとも思うが、H23年3月の定款変
更後も、議会に説明しなかったのは遺憾だ。その後H24年9月議会で一般質問の中で定款変更を明
らかにしたことについても、行政の透明性から言っても遺憾だ」


3、 疑問・提案は事業団に伝え、判断は事業団に委ねたい

「定款変更の経緯に疑問があっても変更は事実。評議員4名を除いて市の関与は実質的には出来な
い。自主的に理事会・評議員会を通じて定款の在り方を含めて、運営や市の関与について議論して頂
くしかないが、疑問・提案については事業団に伝え、判断は事業団に委ねたい」


・D、これからどうするか

1、 H25年4月1日から、社会福祉法人の認可・指導監督等の事務の権限移譲について社会福
祉法が改正された

「社会福祉法第30条により、社会福祉法人についてはその事業区域(基本的には施設・事業所等の
所在地)によって国、都道府県、政令市、中核市のいずれかが所轄庁となっていましたが、今回の第2
次一括法により、単一の市内に施設・事業所がある社会福祉法人については当該市が所轄庁となり
ます」と改正された。


2、 H25年9月議会越川市長答弁に対する検証

事業団の見解としては、「事業団において、特別養護老人ホーム(松籟の丘)を自主運営する事から、
取扱い上は一般の社会福祉法人となり、市の直接的な関与を避けるよう県が指導した」(高齢者福
祉課)との事。どうもおかしい、市が全額出資した社会福祉事業団が「松籟の丘」を自主運営するか
ら、今後、「銚子市社会福祉事業団は一般の社会福祉法人となる」との説明のようだが、「松籟の丘」
を自主運営する銚子市社会福祉事業団は、銚子市が全額出資した社会福祉事業団だ、これが何
故一般の社会福祉法人と同じになるのか、質すことが必要だ。

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