銚子市市議会議員

加瀬 庫蔵(かせ くらぞう)の公式サイト

Kurazo Kase Official Web Site


滋賀県東近江市・地域包括ケア「三方よし研究会」視察報告

加瀬くらぞう

 2014年2月4日、地域包括ケアの先進地である滋賀県東近江市を訪問した。その問題意識は、銚子市でも焦眉の課題である「地域包括ケア」について、先進地の取り組みを学ぶためである。

 当日は、東近江健康福祉事務所(東近江保健所)において、「三方よし研究会」代表・小鳥(おどり)輝男氏より説明を受けた。

三方よし研究会(東近江地域医療連携ネットワーク研究会)とは

 2007年に施行された4疾病(現在はうつ病を含む5疾病)5事業にかかる医療法に基づき、当時の東近江保健所長・角野文彦氏が、地区内のリハビリ関係者、地域連携室、看護師、病院、医師会(メディカルスタッフ)らに呼び掛けて、入院から在宅医療に至るまで、切れ目のない患者中心の医療・保健・福祉・介護を提供する体制づくりを目指したことが始まりとの事であった。

 その趣旨に呼応して2007年9月より研究会が手弁当でスタートした。そこではモットーとして「患者によい、病院にもよい、地域にもよい」でウイン、ウインの関係が唱えられたが、医療に勝った負けたはそぐわないとして、近江商人の家訓「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしの精神にならい、三方よし研究会と名付けられたそうである。

 最初は、圏域内の脳卒中の連携事例を通して地域課題の検討や地域連携パスの共通様式の検討、パス集積事例の分析報告、その時々に応じた医療、介護に関する事をテーマ―にしたとの事であった。

脳卒中地域連携クリティカルパスとは

 小鳥(おどり)さんの説明では、「三方よし」は脳卒中クリティカルパスから始まったとの事であった。

 「クリティカルパス」とは、脳卒中の患者さんに対して「地域の病院、施設の役割を分担する」「急性期、回復期、維持期の病院、施設を地域で役割分担を決める」「その代わり、患者さんは急性期で少し回復したら次の回復期の病院へ充分な連絡票を持って転院」「そこでさらに回復したら、また十二分なデータを持って維持期の施設へ」「もっと回復したら三方よし手帳を持って自宅へ」という事である。

パス患者の経過を検討している

 パス患者の経過を検討していく中で、診療計画阻害因子(バリアンス)が「患者要因」として経管栄養、胃瘻、認知症、既往症の悪化、患者の非協力。「家族要因」として理解不足、拒否、決断の遅れ、介護の不足。「地域要因」として空床がない事や施設間の連絡不足が明らかになり、病める患者をめぐる環境が一人一人違う、一軒一軒違う事を痛切に感じ、その人格の大切さを事例報告で身を持って実感することになったとの事であった。

役割を分担した病院・施設

 これだけ多くの病院が役割分担を行っている。役割分担ができたことにより急性期病院では、「救急患者の受け入れを断らなくて済むようになった」「平均在院日数の短縮。脳卒中患者の転院割合の増加」「転院後改善した患者の報告を三方よし研究会で受け、モチベーションに繋がる」「事例を他機関で共有できることの喜びが次の活力に」「各機関の位置付けが明確になり、連携が取りやすくなった」と報告されている。

急性期の病院 回復期の病院 維持期の病院・施設
近江八幡市立総合医療センター
湖東記念病院
日野記念病院
国立病院機構滋賀病院
近江温泉病院
東近江敬愛病院
ヴォ−リズ記念病院
神崎中央病院
日野記念病院
東近江市立蒲生病院
東近江市立能登川病院
青葉病院
ヴォ−リズ記念病院
近江温泉病院
神崎中央病院
東近江敬愛病院
日野記念病院
老人保健施設

在宅顔ご支援施設

在宅 かかりつけ医

包括ケアの精神は町づくり

 「三方よし」は、目指すところが少しづつ見えてきたと小鳥さんは述べている。それは町づくりの発想であるとの事であった。

 すなわち、年をとっても(介護保険)安心して暮らせる町づくり、認知症になっても安心して暮らせる町づくり、病気やがんになっても(在宅医療、在宅ホスピス)安心して暮らせる町づくり、また近い将来出現がありうる死亡難民を防ぐ在宅看取りが出来る町づくり、そしてそれらを公助として支える医療、行政の存在、最後にそこに顔の見える関係でお互い助け合う易しい、優しい公助の心をはぐくむことが市民のコンセンサスになった町づくり、それらこそが三方よしの目指すところであって、それは地域包括ケアの精神そのものではないか。この様に小鳥さんは報告している。

感想として

 銚子市は、市立病院の「休止」「再開」と経験してきた。その根底には、「財政が持たないから休止」「どのような診療科の医師が来るかによって再開した病院の性格が決まる」と、どちらも市立病院存在の理念はなく、場当たり的に休止と再開を行ってきたと言える。

 銚子市における市立病院の在り方を、地域包括ケアの精神から見直して地域医療政策を確立する事が必要だ。その様に感じた視察であった。


ページTOPへ